
Researches in Miwa Laboratory
我々の研究室では、核医学・核医学技術・分子イメージングを研究しています。特にPET/CTとSPECT/CTを用いた腫瘍・中枢神経系核医学イメージングの定量性および臨床的有用性に関する研究を行なっています。


核医学治療のDosimetryに関する研究
核医学治療は画像診断との融合(セラノスティクス)によって、より効果的で精密な個別化医療が達成されています。近年、核医学画像から吸収線量を評価するdosimetryと呼ばれるリスク臓器の放射線障害を最小限に抑えつつ、悪性腫瘍への治療効果を最大限に高める手段が期待されています。しかし、核医学画像に基づくdosimetryは画質や定量精度によって正確性に影響を及ぼし、さらに患者個々に合わせた複雑な解析と専門的な知識が必要とされます。我々は個別化医療の実現に向けてdosimetryの普及に向けた標準化に取り組んでいます。また、dosimetryの精度向上や最適化に向けた検討を行っています。


PET、SPECTの新しい撮像・再構成技術に関する研究
PET画像の高い信号雑音比(SNR)に寄与するTOF (Time of Flight)補正やPSF(Point Spread Function)補正、新しいPET画像再構成法であるMAP-EM法をベースとしたBayesian penalized-likelihood法(BPL法)や新しいSPECT画像再構成法であるポアソン分布のカイ二乗統計近似法を利用したOrdered subset conjugate gradient maximization (OSCGM法)が実用化されました。これらの多様な機能を十分発揮するためには収集データの特性に応じて最適な収集・再構成条件を決定する必要があります。我々は、PET・SPECT画像の定量値の精度向上を目的として、BPL法やOSCGM法のような新しい撮像技術の臨床評価を行っています。


PETの呼吸制御に関する研究
PET検査のデータ収集では数分間を要するため、体幹部では呼吸性移動による定量性の低下、腫瘍体積の過大評価や集積の過小評価などを生じます。呼吸性移動対策として呼吸同期PET収集が挙げられます。呼吸同期PETは、位相同期と振幅同期に分類されます。両同期収集について、呼吸を模擬したファントム、臨床例を用いて比較検討しています。一般的に呼吸同期PETでは呼吸波形をモニタリングするための外部デバイスを患者に装着してPET撮像する必要があります。外部デバイス不要で、ソフトウェアによる呼吸同期が可能なdata-driven gating PETについても検討しています。


PET/CTとSPECT/CTのSUV精度に関する研究
18F-FDG PETの一般的な簡易的な半定量指標としてトレーサの集積の程度を反映したSUV(standardized uptake value)が用いられています。近年、ハードウェアとソフトウェアの両面の進化により、骨SPECTにおいてもSUVの算出が可能となりました。SUVを治療効果判定や予後予測に用いる場合には安定性や再現性が問題となります。我々は多施設臨床研究を想定してPET、SPECT検査の標準化・調和化により、SUVの精度向上と施設間のSUV変動の抑制に向けて検討しています。


骨SPECT/CTの新たな定量指標に関する研究
骨SPECTにおいて、骨転移や骨関連疾患のバイオマーカーとして利用可能な安定した定量指標が求められています。体格や病状による影響を受けにくく再現性の高い安定した定量性を示す骨代謝の定量指標の確立を目指しています。我々は体幹部を対象として解剖学的統計解析を用いたZ-scoreの開発・評価に取り組んでおり、同指標を用いて、良悪性鑑別、治療前後の変化と臨床経過や予後との関連を検討しています。また、プロジェクションデータを入力として自動的にZ-scoreを算出する骨SPECT定量ソフトウェアの開発も進めています。
